森と水の源流館の目指すこと
 ここ川上村は、吉野川・紀の川の源流の村。降り注いだ雨は、森に蓄えられ、それが湧き水としてゆっくりと流れ出て、やがて一筋の流れとなり、吉野川(紀の川)となって奈良盆地や遠く和歌山平野にいたる大地を潤します。豊かな「森」と「水」の恵みを、未来の子どもたちに手渡したい。そのために私たちは何を考え、何をするべきなのでしょうか。
 私たちは、源流を通して自然と私たちの関わりをみなさんといっしょに考え、行動し、その体験から一人ひとりが答えを見出していく取り組みを「源流学」と名づけました。
 「森と水の源流館」は、みなさんを源流(「源流学」)へといざないます。自然や環境、生き物たち、いにしえからの人々の暮らしなどにふれ、源流とは何か、私たちの暮らしとどんな関係があるのか、「森と水の源流館」でいっしょに体験してみませんか?
「森と水の源流館」の3つの役割
源流の自然、水源地を守ることの大切さをわかりやすく伝えます。
地球環境問題・水資源問題を「水源地」の視点から考えます。
本当の森や水の「楽しさ」を分かち合う交流の輪を広げます。
源流学とは
 自然とともに生きる力を源流に学ぶこと、それが源流学です。難しい専門家だけの研究テーマではなく、源流の自然、環境、生き物の生活、風土、人や物の交流、産業、歴史、遊び等、源流についての様々なことを知りたいと思い、行動すること。その体験の中から、一人ひとりが答えを見出そうとするところに源流学はあるのです。また、各地の源流と比較研究することや、流域全体の人々との結びつきや役割を学び、新たな関係づくりに向けた交流のあり方を探ることも源流学の一つです。
川上宣言
 川上村では水源地の村としての役割を果たしていくため、「川上宣言」にのっとった村づくりを進めています。
一、 私たち川上は、かけがえのない水がつくられる場に暮らすものとして、下流にはいつもきれいな水を流します。
一、 私たち川上は、自然と一体となった産業を育んで山と水を守り、都市にはない豊かな生活を築きます。
一、 私たち川上は、都市や平野部の人たちにも、川上の豊かな自然の価値にふれあってもらえるような仕組みづくりに励みます。
一、 私たち川上は、これから育つ子どもたちが、自然の生命の躍動にすなおに感動できるような場をつくります。
一、 私たち川上は、川上における自然とのつきあいが、地球環境に対する人類の働きかけの、すばらしい見本になるよう努めます。

奈良新聞(2018年12月26日)「川上宣言」全面企画特集⇒