ありがとうのページ (平成27年度 2015年4月〜2016年3月)
紀の川(吉野川)流域における地域産業をESDの視点でいかす教材化
 平成27年度環境省 地域活性化に向けた協働取組の加速化事業において、「紀の川(吉野川)流域における地域産業をESDの視点でいかす教材化」をテーマに森、大地、海 をつなぐ取組を行いました。
 奈良県川上村を源流とし、和歌山市の海へと流れ出る紀の川(奈良県では吉野川)。1本の川でつながる流域各地では林業、農業、漁業の第一次産業が営まれ、いずれも独自の自然と水の恵みにより成り立っています。今回の取り組みでは、上流・中流・下流各地域の産業を通じて培われてきた技や知恵、ひとの資源を共に掘り起こし、教材化することと、それらを流域全体で共有し、活用することで、「ちがい」と「つながり」を学び、地域の自然と産業を大切にしながらかかわり続けることを学習する「流域連携型」のしくみづくりを目指しました。
概要はこちらよりダウンロードできます⇒
奈良新聞(2016年2月29日掲載)(1.14MB)   ぽたり35号(2016年3月発行)(584KB)
1/30(土) 源流のつどい「御船の滝氷瀑ツアー」
 ほんの数日前には見事な氷瀑でしたが、直前の雨とそれによって雪が融けた水のため予想以上の水量。残念ながら凍った様子を見ることはできませんでした。おかげで、迫力ある滝を見ることができました。自然ってすごいなと改めて感じます。わずかに残った雪で子供たちはソリ遊び、アマゴやシカ肉のバーベキューや団子汁でお腹一杯にして、次こそはと期待しながら帰りました。
1/9(土) 利用・入館者20万人突破!
 20万人目となったのは、奈良教育大学のグループでした。奈良教育大学では、グローバル人材育成に向けたESD(※)の推進事業の一環として、教員や学生の方を対象に、環境や文化遺産とに関する理解を深め、ESD教材開発のためのスキルアップに取り組んでおられるそうで、川上村へ森林や林業についてフィールド研修に訪れ、当館へ入館されました。当館より、記念状と、川上村をさらに満喫いただける体験を記念品として贈呈しました。これからも多くの方々に森と水の源流館へお越しいただき、豊かな自然や、山村の暮らし、環境を守る取り組みなどにふれていただくお手伝いとしたいと思っております。
※ESD: Education for Sustainable Developmentとは、持続可能な社会づくりのための教育のこと

20万人目の来館者になった感想
 今回の川上村でのフィールド研修を通して、森を守るということは、自然を傷つけない、ゴミを捨てないということだけではなく、木を使うということも大切。森や自然との接し方に気づくことができた。森と水の源流館で森の香りや音や映像を体験でき、感動した。また、次を目指して、自然とは、昔から人が暮らしてきたところとは、そういうことを思い出してもらえる啓発活動を続けてください。
1月 門杉
 1月15日(金)まで森と水の源流館入口階段前に門杉(松ではなく杉を中心に据えた門松のこと)を展示しています。吉野杉は年輪幅が密なため強度があり、また、色、艶、香が良いという特徴があります。約500年前、室町時代の頃から始まったとされる吉野林業の伝統と魅力に、まず割り箸くらいからふれてみるのはいかがでしょうか。
12/15(火) トガサワラの苗
 森林総合研究所材木育種センター関西育種場さんが稀少樹種の生息域外保存のために三之公地域でトガサワラの種子を採集しました。この種子は遺伝資源として、実生の生育試験やそのほかの保全のための各種試験研究材料に活用されるそうです。そして、大きくなった苗の一部が川上村に帰ってきました。
12/6(日) 神戸大学農学部・経済学部
 吉野川源流−水源地の森周辺には人工林や伐採され再生しつつある天然林があり、原生林と比較して森を知ることができます。実際に自分の目で見て、森林や林業の現状や未来について一人一人が考える良い機会になったのではないでしょうか。
12/5(土)〜6(日) 奈良教育大学
 河本大地准教授の地域生態論の実習で、上谷地区で山村のくらしの体験学習をしました。過疎が進む上谷は、現在3世帯4人しか住んでいません。地区へ続く、急な坂道も神社も手入れが行き届かない地域課題をを学生さんの若い力で解決していきました。
11/24(火) 林業作業道のワークショップ
 源流人会の会員さんの呼びかけで、林業作業道のワークショップを開催しました。川上村に山林を所有する谷林業株式会社から、谷茂則さん、前田駿介さんにお越しいただいて、「壊れない作業道づくり」などさまざまな取組についてお話しいただきました。ちょっとディープな内容でしたが、人工林を上手に管理運営していくことは、林業という産業の問題のみならず、生物多様性の保全など、私たちが森林から受ける生態系サービス(森の恵み)を受け続けるためには緊急の課題にもなっています。大変良いお話が聞けました。
11/8(日) 水源地の森ツアー
 秋から冬にかけては生き物にとって激動の季節でもあります。この日も参加者の方が「水中で魚が死んでいる!」と教えてくれました。確認すると、それは産卵を終えて力つきたアマゴでした。また、葉を落とした木々の枝はすでに来春のために冬芽をつけていました。リスやネズミも冬を乗り越えるためにドングリ集めに勤しんでいるようです。
10/1(木)〜12/28(月) ギャラリー展「川上村の鳥たち」
 森と水の源流館の階段ギャラリースペースにて、匠の聚のイラストレーター・小川こころさんの作品を展示させていただきます。川上村で見られる鳥たちがテーマの可愛らしいイラストを展示しています。
10月 関西電力労働組合かわかみの森づくり
 関西電力労働組合の方々と川上村とともに歩みはじめて、今年で4年目です。人工林の間伐や吉野川源流−水源地の森の見学、三之公の奥でパルプ材伐採の後、放置された森(関西電力労働組合かわかみの森)の手入れ(除伐作業など)を行いました。手入れを進めている森は少しずつ確実に元気になってきています。
9/28(月) 川ばたみーてぃんぐ「有機農薬づくり」
 村民の方と環境について考えたり、実践したりする活動の一つが井戸端ならぬ、川ばたみーてぃんぐです。今回は環境にやさしい有機農薬ということで、トウガラシの実とアセビの葉をそれぞれ使った農薬を作ってみました。この他にも参加者から家では白菜の根元にヒノキのチップをひいて泥除けにしてる、茄子の虫除けに灰を使っている、じゃあそれも試してようなど、気軽に取り組めるのが良いところです。吉野川紀の川源流の川上村だからこを皆で環境について考えていきたいです。
9/27(日) 中秋の名月
 9月21日(祝)〜27日(日)森と水の源流館正面玄関内にて、お月見にちなんだ飾りつけをしています。秋の七草も揃えたいのですが、やはり無理でしょうか。おじいちゃん・おばあちゃんが子供の頃、中秋の名月(芋名月)には「芋たばらしてんけぇ〜」と言って近所の家を回ったそうです。芋の他にもお供え物の餅や菓子をもらって歩いたとか。ハロウィンみたいですが、当館ではお菓子などをお配りする予定はありません。「trick or treat」と言っても駄目です。
夏休み いつでも体験・がんばれ宿題 〜かわかみ遊水フェスタ〜
 川上村では各施設・団体が協力して源流の夏休みイベントを開催しました。宿題や夏休みの思い出づくりはできたのでしょうか?
8/9(土) 吉野川紀の川しらべ隊「夏の虫をしらべよう」
 吉野川紀の川流域の自然・環境に親しみながら楽しく学ぶ。というわけで、夏だ!虫捕りだ!昆虫生態写真家の伊藤ふくおさんを講師に蜻蛉の滝周辺で虫を捕まえて調べました。子供たちの目も勘もすごくいい。次から次へと色々な虫を見つけては先生に質問していました。
結果
場所 川上村西河 蜻蛉の滝周辺
観察した生き物 35種
セミのなかま アブラゼミ・ミンミンゼミ・ニイニイゼミ・ヒグラシ
チョウのなかま カラスアゲハ・ヒメウラナミジャノメ・アオスジアゲハ・クロアゲハ・キタキチョウ・エダシャクガ幼虫
ゴキブリのなかま オオゴキブリ・モリチャバネゴキブリ
トンボのなかま オオシオカラトンボ・ウスバキトンボ・オニヤンマ・コオニヤンマ
ハチのなかま セグロアシナガバチ・スギハラクモバチ・クモバチsp・アオハナムグリ
コガネムシのなかま スジコガネ・ルリセンチコガネ・コイチャコガネ
カミキリムシのなかま オオヨスジハナカミキリ・アトボシサビカミキリ
カメムシのなかま クサギカメムシ・チャバネアオカメムシ・フタホシカメムシ・ハサミツノカメムシ
キマワリ・ウスバカゲロウ・クルマバッタモドキ
その他 シーボルトミミズ・ババヤスデ・ザトウムシ・ニホントカゲ
8/1(土) 吉野川紀の川しらべ隊「水生生物をしらべよう」
共催:奈良新聞社 AQUA SOCIAL FES!! Presents 〜吉野川環境保全プログラム きれいな吉野川を未来に残そう〜 第2回
 これは(株)トヨタマーケティングジャパン様に、ハイブリッド車「アクア」の発売にあたり展開している、一般参加型の社会貢献プロモーションの協賛を受けて実施しました。探偵ナイトスクープでおなじみの谷幸三先生の指導で、水生生物を採集し、水源環境の問題などについても教えてもらいました。とても楽しいお話で、あっという間に時間が過ぎました。
結果 <午前> <午後>
河川名 (調査地点) 音無川 (蜻蛉の滝下)
調査地点のまわり 渓谷
川岸の状態 右岸・左岸:護岸
川幅 5m
調査場所 瀬、淵
流れの速さ 遅い
川底の状態 小石、砂
水深 5〜20cm
濁り
臭い
ゴミ
時刻 10:30〜11:00 14:00〜14:20
天候
水温/気温 29℃/22℃ (10:00時点) 31℃/25.5℃ (14:10時点)
きれいな水にすむ生き物 13種
カジカガエル幼生・生体(多)・シロタニガワカゲロウ(1)・フタスジモンカゲロウ(1)・モンキマメゲンゴロウ(3)・オオヤマカワゲラ(1)・オオアメンボ(1)・オジロサナエ(1)・ミルンヤンマ(1)・サワガニ(5)
17種
カジカガエル幼生・生体(多)・シロタニガワカゲロウ(1)・フタスジモンカゲロウ(1)・モンキマメゲンゴロウ(3)・オオヤマカワゲラ(1)・オオアメンボ(1)・シマアメンボ(2)・オジロサナエ(1)・ミルンヤンマ(1)・ムカシトンボ(1)・ミヤマカワトンボ(2)・アサヒナカワトンボ(1)・ナベブタムシ(多)・オナガミズスマシ(2)・ヒゲナガカワトビケラ(1)・サワガニ(5)
ややきれいな水にすむ生き物 7種
アカハライモリ(5)・カワヨシノボリ(10)・アブラハヤ(10)・クロスジヘビトンボ(3)・ヒラタドロムシ(3)・ダビドサナエ(1)・カワニナ(3)
9種
アカハライモリ(2)・カワヨシノボリ(10)・アブラハヤ(10)・クロスジヘビトンボ(3)・コオニヤンマ(1)・コヤマトンボ(1)・ヒラタドロムシ(3)・ダビドサナエ(1)・カワニナ(3)
汚れた水にすむ生き物 1種
ガガンボ幼虫(1)
2種
ガガンボ幼虫(1)・シロフアブ(2)
とても汚れた水にすむ生き物 0種 0種
目につく生き物 サクラ・イロハモミジ・マタタビ・スギ・ヒノキ・ウツギ・クサギ・クズ・イタドリ・タケニグサ・ウスバキトンボ・デングチョウ・コオニヤンマ・オニヤンマ・ヒグラシ・シーボルトミミズ・アブラゼミ(声のみ)、ニイニイゼミ(声のみ)
7/5(日) 森守募金キャンペーン
 おはなしカーニバルと共催だったのでやまぶきホールだけでなく当館のほうでも色々なミニ演奏会やワークショップがありました。ご来場いただいた方へ森守募金を呼びかけたところ、多くの方にご協力いただきました。お礼に花苗をプレゼント。皆様のところで綺麗に咲くといいなー。
6/27(土) 源流のつどい「源流の巨樹めぐりとほたるの夕べ」
 良くも悪くもようやく梅雨らしい天気になったこんな日はホタル日和です。途中、ケヤキやスギなどの巨樹を見に寄りつつ、近づいてみると本当に大きい、東川地区へ向かいます。千本づきをして搗きたてのお餅を食べたり、つかみ捕りしたアマゴを焼いて食べたり、地元の野菜や山菜を使った料理を食べたり、食べたり、食べたり、食べすぎました。日がどっぷりと暮れた頃、ホタルがちらほらと飛び始めました…が、時間切れと雨も強くなってきたので帰ることになりました。
6/7(日) 山の神の日
 山や森とともに暮らしてきた川上村では、その入口に山の神様をお祀りしてきました。林業の衰退や人口の減少に伴い廃れつつある伝承文化の一つです。吉野川源流−水源地の森のある三之公地区にも山の神様の祠があり、1月、6月、11月の7日におまつりしています。普段も森に入る前にお参りするのですが、この日は御神酒をあげたり、餅や野菜をお供えしたりしてお参りしました。
5/6(祝) 吉野川紀の川しらべ隊「和歌山市の植物をしらべよう」
 和歌山市は吉野川紀の川の最下流に位置する街です。水も自然環境も源流から河口まで「きれい」であってほしい。吉野川紀の川しらべ隊は流域の自然観察を通して、流域の自然を知り、川ととも大切にしてゆければと考えて実施しています。観察の最初に目に飛び込んできたのがキク科メリケントキンソウ。南アメリカ原産の外来種で、種子のとても鋭いトゲが危険で、自転車のタイヤも貫通するほどです。どうやら和歌山市のほうが外来種が多い。川上村でも最近、外来種の侵入が目立つようになりましたが、やはり在来の川上村らしい、そして吉野川・紀の川らしい植物を大切にしたいと改めて思いました。講師の尾上聖子さん(奈良植物研究会)には、川上村と和歌山市の植物の違いを教えていただき、山元晃さん(和歌山県立紀伊風土記の丘)には、植物だけでなく、万葉歌まで教えていただきました。
5/2(土) 源流学の森づくり(ボランティア)
 森と関わったり、森の手入れをして元気な森にする「森づくり」という活動があちらこちらで行われるようになりました。「森づくり」って、話で聞いたり写真で見たりすると「すごいことやってる」感が満載ですが、実際は誰にでもできる作業がほとんどです。今回が初参加のおふたりにも楽しく森と関わっていただきました。成果も大切ですが、人が森と(直接)関わることもとても大切なことです。
5月 端午の節句
 4月4日(土)〜6月5日(金)まで、端午の節句飾りを展示しています。川上村ではちまきやいばら餅、でんがらを供えるのですが、何故か柏餅…の模型です。
4/29(祝) 吉野川紀の川しらべ隊「川上村の植物をしらべよう」
 新緑まぶしい中で、大人も子供もルーペ片手にじっくりと植物を観察しました。講師には尾上聖子先生(奈良植物研究会)にも来ていただきました。足もとには、春の七草のひとつ、ハハコグサをはじめ、ツボスミレ、ジロボウエンゴサクなどの春の妖精と呼ばれる小さなお花がたくさん咲いていました。
 しかし、残念な発見もありました。特定外来生物のナルトサワギク(アフリカ南部原産)が見つかりました。ひとまず抜いて駆除しておきましたが、危険な外来生物の侵攻は山里にまでじわじわ広がっています。川上村では、東川地区、北塩谷地区で確認しましたが、西河地区では初めての確認です。ナルトサワギクの花はとてもきれいなので、持って帰って花壇に植える人もいるようですが、「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」により、許可なく繁殖・増殖が可能な状態で移動したり栽培したりすると、個人には3年以下の懲役、300万円以下の罰金、法人には1億円以下の罰金と、かなり厳しい罰則が設定されていますので注意が必要です。また、本種は強い毒性があり、海外では家畜の中毒が深刻な問題となっていて、オーストラリアではウシなどの家畜が死んだという報告もあるそうなので、かなり危険な外来種です。定期的な観察を通じて、このような変化にも気づくことができたのは、何よりの成果だと思いました。
4/18(土) 水源地の森ツアー
 この日の水源地の森ツアーはとんでもなく快晴。ちなみに4月に入ってから3回目くらい。新緑の森を楽しみました。ゆっくりと落ち葉の上を歩くと、バリバリ、バリバリと音がします。この時期にしか観察できないいろいろな生き物も観察しました。