30日(土)に予定していた白屋の「未来への風景づくり見本園草刈り体験ボランティア」は中止となりましたが、スタッフが草刈りなどの手入れを行いました。当日は晴天。白屋からおおたき龍神湖をながめると素晴らしい景色(写真1)に心を奪われます。を石垣にはウツギの花(卯の花)(写真2)が目立ちます。ウツギが咲き始めると初夏のはじまりです。遅霜も来ない季節になることから、昔の人はサツマイモのツルを植える合図にしました。日当たりのよい岩場、空き地などに旺盛に生えて白い花が目立つので、このころやってくるホトトギスと共に、万葉集にも多くの歌が残されています。
朝霧の八重山越えて霍公鳥(ほととぎす)卯(う)の花(はな)辺(へ)から鳴きて越え来ぬ (巻八)
石上堅魚(いそのかみのかつを)
白屋の未来への風景づくり見本園の草刈りは2016年から始めて5年目になります。大滝ダム建設による地滑りのため、全戸移転を余儀なくされた白屋地区の景観を守るために、ボランティアさんが年2回の草刈りを続けてきました。その思いも今年は引継ぎ、スタッフでの草刈りを実施しました(写真3)。草刈り前の様子(写真4)から、2時間ほどの作業を頑張りました。終了後の写真(写真5)で手前に移っている小さな樹木はクワの木です。見本園では、パイオニア種と言われる、先駆的に侵入して肥沃土壌づくりや地盤の安定化に寄与するような樹木で自然に生えてきたものを選択的に少し残しています。その結果、見本園の片隅では、木陰で涼むことができるようになりました。
草刈り終了後、これまで続けてきた外来種駆除も行いました。近年、ヨーロッパ原産のアメリカオニアザミが白屋に定着しています。アメリカオニアザミ(写真6)には手袋やズボンの上からでも容易に貫通するほど危険なトゲがある危険な植物です。外来生物法では「総合的に対策が必要な外来種」の内、その他の総合対策外来種に指定されています。キク科の植物で、種子はタンポポの綿毛の大型にしたようなもので、風に乗って分布を広がります。そのため、つぼみのこの季節に駆除するのが効率的です。壊滅させるに至っていませんが、爆発的な蔓延を防いでいるのが現状です。
川上村では、この白屋集落跡において企業・団体との協働による「未来への風景づくり」が進んでいます。この取り組みは、景観保全のみならず、この地域の生物多様性の保全にも寄与することが期待されます。そのモニタリングとして、森と水の源流館では2015年より生態調査を実施し、森と水の源流館ホームページに白屋地区自然生態調査速報として「白屋の生き物かわら版」の発行を続けています。今回の観察では、「総合的に対策が必要な外来種」の内、重点対策外来種の樹木、ニワウルシ(シンジュ)(写真7)の蔓延が目立ってきました。裸地に真っ先に侵入するパイオニア種で成長が早いので、今後のモニタリングや駆除を検討していきます。 |
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